【味覚解像度カリキュラム第1回】シャサーニュ2023の豊かな果実味と、自身の「味覚の軸」を再認識したROI検証 本文:

AIと共に設計した『味覚解像度向上カリキュラム(2026-2027)』。 その第1回目として抜栓したのは「ダルヴィオ・ペラン / シャサーニュ・モンラッシェ ラ・ベルジュリー 2023」です。

変更の理由と、戦略的な調達

当初、初手には「垂直な酸とミネラルの教科書」としてエティエンヌ・ソゼを予定していました。しかし目当てのボトルが市場になく、代替案として同じく冷涼な区画を持つこちらを手にしました。

定価は19,800円と村名クラスとしては高額ですが、今回はショップの30%オフと手持ちのポイントをフル稼働させ、実質10,000円程度で調達しました。この「戦略的な買い方」が、後のROI(投資対効果)の検証において重要な意味を持ちます。

テイスティング:間違いなく美味しい、しかし「私の求める基準」とは異なる

実際に口に含んだ瞬間、「ああ、久しぶりに上質なブルゴーニュを飲んだ」という多幸感に包まれました。2023年という気候に恵まれたヴィンテージの恩恵もあり、ふくよかで豊かな果実味が横に広がる、間違いなく美味しいワインです。

ただ、これを私の極端な「垂直な酸へのこだわり」というフィルターを通すと、見え方が少し変わってきます。

  • ミネラルはマスキング:強大な果実味のエネルギーが前面に出ており、私が今回探し求めていた硬質なミネラル感は、奥に隠れていて感知できませんでした。

  • 酸の方向性の違い:余韻に綺麗な酸は残るものの、私が至高とする「果実味をビシッと一直線に統制するような、鋭く垂直な酸」とは方向性が異なりました。全体を丸く優しく包み込むような構造です。

結論:2万円の投資に対する、私個人の最適解

客観的に素晴らしいワインであることを前提とした上で、私個人の好みと投資効率(ROI)の視点で検証します。

もしこれを定価の約20,000円で購入していたら、私自身の「好みとのズレ」に対して、少し割高に感じていたと思います。今回は10,000円で調達できたからこそ、この素晴らしい果実味のボリュームを心から素直に楽しむことができました。

同じ約20,000円の予算を投じるのであれば、私は酸の純度と透明度が圧倒的な「ドメーヌ・ルフレーヴのブルゴーニュ・ブラン」を選びます。これはワインの優劣や品質の話ではなく、完全に私個人の「味覚の軸(情報の整理整頓を好む性質)」の問題です。

今回、当初の目的であった「ミネラルの0地点」を作れたかは分かりません。しかし、素晴らしいブルゴーニュの実像に触れることで、「自分が求めているのは、やはりもっと鋭く垂直な酸なのだ」と、自身の好みの輪郭を逆説的に再認識できました。

自分の味覚の現在地を知る。それこそが、このカリキュラムの醍醐味です。 次回は、2022年から自宅のセラーで静かに自家熟成させてきた「ロスチャイルド ブラン・ド・ブラン」を抜栓します。シャルドネ100%からなる泡が、時間という変数を経て「垂直な酸」をどう抽象化し、骨格を保っているのか。次なる構造解析へと移行します。